格闘ゲームにおける対空技とゴジラ映画に登場する対空兵器
格闘ゲームにおける対空技としてもっとも有名なのは、やはり「ストリートファイター2」でリュウとケンのふたりが使う「昇竜拳」であろう。
一瞬かがんだあと、拳をぐっと天に突き出すさまは、まさに昇り竜。
発生から上昇中は完全無敵のうえ攻撃判定も出っぱなしという、いま考えると狂った性能であった。
「昇竜拳」を「昇龍拳」だと思っている人が多かった。とくに中華料理屋出身者に多かったように見受けられる。
また手書きでのありがちなミスが「昇竜拳」を「昇竜挙」と書いてしまうことだろう。このミスをしていた人はおそらく「北斗の挙」とも書いていたはずだ。
話が横にそれた。
発生直後の昇竜拳はダメージが2倍ちかくあり、飛びこんでくる相手をできるだけ引きつけてから出す、通称「根元昇竜拳(ねもとしょうりゅうけん)」の練習に必死になったオッサンプレイヤーも多かったのではないだろうか。
反則的に強い性能ではあるが、ガイルのサマーソルトキックなど、もっと凶悪な対空技もあったので、当時はアレでもゲームバランスは取れていたような気もする。
昇竜拳の性能は、ストリートファイター2の続編が出るたびに変化していき、
発生から上昇中まで完全無敵
↓
発生直後は無敵
↓
無敵時間ナシ
のように弱体化の道をたどっていった。
そのかわりにリュウは波動拳、ケンは足技の大幅な強化がなされ、しっかりと対戦ツールとしてのバランスを保ち続けたのは、さすがである。
ぶっちゃけてしまえば、ストリートファイター2のリュウとケンに関しては、昇竜拳が出せなくてもしゃがみ大パンチでたいていの飛びこみは落とせてしまう。
大昇竜拳を出そうとして失敗した結果、しゃがみ大パンチで決着がついた対戦の微妙な空気は、日本人の7割くらいは経験しているのではないだろうか。
「お、おう」的な。
逆に続編から発生時に無敵時間が追加された対空技もあった。
それがエドモンド本田の「スーパー頭突き」である。
(本来スーパー頭突きは対空技ではないが)
ダウン時、起き上がりに飛びこまれてもドンピシャのタイミングで出せば、雑な飛びこみのほとんどは迎撃できる高性能。
さらに小で出すと無敵時間が異様に長いこともあり、スーパー頭突きに無敵時間が実装された直後は、本田使いたちの歓喜の声で、日本列島全体が地鳴りしたのは記憶に新しい。
ただひとつ問題があるとすれば、小スーパー頭突きを命中させたときの官能性が、昇竜拳を大幅に上回ってしまった点である。
スーパー頭突きを出すと本田は「どすこい!」と声を出すのだが、小スーパー頭突きの発生からワンテンポ遅れて「どす」で、「こい!」までが無敵時間。
これを文章で説明するのはかなり無理があるが、頭突き状態からクルンと本田が立ち状態に戻るアニメーションもホントにキモチよく、もうこれは一度やってみてくれとしかいいようがない。
けっして昇竜拳やサマーソルトキックのような派手さはないが、まるでいぶし銀のような渋さ(いぶし銀ってなんのことか知らないけど)が際立つスーパー頭突きこそ、「対空技」という言葉を陰で支えてきたという事実を見逃すことはできない。
エドモンド本田には「百貫落とし」という必殺技も追加されたが、こちらは対空技というよりは、緊急回避・奇襲といった目的のような気がするので、省略。
ちなみに「デーブー デーブー ひゃっかんデーブーwww」と太っている人をバカにするコールを聞いたことがあると思うが、「ひゃっかんデブ」の「ひゃっかん」は、「百貫」のことである。
百貫は重さの単位で、1貫は約3.75kg。
つまり「ひゃっかんデブ」は375kgのデブである。
そんなデブ、見たことないぞ!
そこで、ゴジラである。
いままで観てきたゴジラ映画では、対空兵器がゴジラに有効なダメージを与えた例はなかったように思う。
わりと冷静に「税金のムダでは?」などと考えてしまうのは、ちゃんと映画の世界に入りこんで観ていない証拠だ。
もっとしっかりと観ていきたい。
製作者が本気でつくったゴジラ映画に対しては、こちらも真剣に臨まなくてはならないだろう。