ゴジラ映画をすべて観た人が語るブログ

スマホを横にして見るといいらしいです。

アーケードゲームのロケテストとゴジラ

ゲームセンターにあるゲーム(アーケードゲーム)は、ほとんどの場合、初プレイでは1コインクリアができないような難易度設定がなされている。
なぜかというと、たかだか50円玉や100円玉1枚で延々と長時間プレイされたら、ゲームセンターの経営に深刻に関わってくるからである。

あまり知られていないが、アーケードゲームはいきなりドンとゲームセンターに登場するわけではなく、リリース前に数カ所のゲームセンターにテスト機を置いて、最終調整に備えることがある。
これを「ロケテスト」と呼ぶ。

ロケテストが行われるゲームセンターは、だいたい決まっており、基本的には大きなゲームセンター、言い換えれば上級者が多く集まるゲームセンターになる。

自分は柏駅丸井の地下がほぼすべてゲームセンターだったころに、よくロケテストを見かけたものだった。

わけのわからないブロックくずしやテトリスのパクリなど、ロケテストが行われたはいいものの、そのまま消えてゲームセンターで実稼働することはなかったゲームも星の数ほど見てきたが、ここでは自分の友人がおそらくロケテストにおいてメーカーの最終調整に多少は影響を与えたであろうゲームについて触れてみようと思う。

そのゲームは「マーシャルチャンピオン」
コナミ格闘ゲームである。

当時は空前の格闘ゲームブーム。
これは自分が直接知っているわけではないが、置いていない喫茶店は客足がゼロになったという「インベーダーブーム」に匹敵する現象だったのではないだろうか。

格闘ゲームが幅をきかせると、まずシューティングゲームがゲームセンターから追放された。
つぎにアクションゲームも追放された。

1コインで何時間もプレイできるゲームよりも、数十秒、ヘタをすれば数秒で終わる格闘ゲームのほうが、ゲームセンター側にしても都合がよかったのだろう。

格闘ゲームブームは、ほかのジャンルのゲームの進化を確実に停滞させたはずだが、専門的なところまで踏みこむほど自分には知識や経験がないのでやめておく。

とにかく、格闘ゲーム脱衣麻雀テトリス、あとはUFOキャッチャーとプリクラしかないようなゲーセンだらけの時期があったのである。

話を「マーシャルチャンピオン」のロケテストに戻そう。
このゲーム、女性キャラがふたりいるのだが、お世辞にもカワイイとはいえないようなショボいグラフィックであった。

まず自分はレイチェルという金髪西洋人の女忍者を使ってみた。
必殺技で目を引くのは「シャドウアタック」という突進技。
すこし前にあった「XEXEXゼクセクス)」という横スクロールのシューティングゲームに出てくる武器とまったく同じエフェクトであった。
おそらく当時のハード性能ではかなりの無理をして完成させた効果だったのではないだろうか。いちど見たらけっして忘れられない青い残像。

このシャドウアタック、とにかく弱い。
自分が突進すると影がついてくるだけで、無敵効果などいっさいナシ。
攻撃判定も弱く、まったく使い物にならなかった。
5人くらいCPUを倒したところでゲームオーバーになってしまった。

つぎに友人が、ティティというエジプトのクレオパトラのパクリのような女キャラを選択した。
このキャラは「ナイルスター」という飛び道具を持っており、威力は弱いがこれがなぜかよく当たる。
ほぼ毎回ナイルスターを撃っているだけでパーフェクト勝ちになってしまい、どんどんゲームを進めてしまう友人のティティ。

ラスボスは、登場キャラの必殺技をすべて出してくるという、ありがちなタイプだったが、これもナイルスターだけで撃破。
もうおぼえてないが、ショボいグラフィックのエンディングも見せてもらった。

ひと月ほどたってから、マーシャルチャンピオンが全国のゲームセンターに登場した。
当然、ティティがナイルスターを撃ってもCPUはジャンプするなりして回避するようになっていた(笑)

ロケテスト後に難易度が下がるという例はほとんどない。
ロケテストじたい、上級者が腕試しで挑戦するので、実稼働のさいにはフォーカスがそこに合ってしまうからだ。

ちなみに、このティティというキャラ。
だいぶたってから、イロモノだと思われがちだが内容は完全にあのシリーズを踏襲した硬派なシューティング「オトメディウス」のエジプトステージのボスとして、プレイヤーを苦しめる立場に大抜擢された。
とくに2周目以降の凶悪さは、ぜひ体験してほしい。
むしろ、マーシャルチャンピオンなんかどうでもよい。オトメディウスをやれ!
とにかく、やれ!

あのショボいグラフィックが、吉崎観音センセの手により大幅に魅力的なキャラクターになったのも大きい!
すごいぞ!

そこで、ゴジラである。
映画にはロケテストがない。
試写会の評判しだいで内容を変えるというのはあまり聞いたことがない。

一発勝負の映画。
クソだとバッサリ斬るのも、あそこをああすればよかったのにと考察するのも、いいかもしれない。

ゲームはロケテストどころか、リリース後にパッチファイルを配布することもできるようになってしまった。

映画とゲームは別モノである。
別モノであるし、けっして融合してもらいたくない自分がいる。