ドロケー? ケードロ? 子どものころに流行った究極の遊びについて語る
職場にいる70歳近くのおじいさん社員が、神妙な面持ちで声をかけてきた。
「このメール、どうすればいい?」
差し出された二つ折りのガラケーの画面を見たとたんに爆笑してしまった。
「DMM事務局より未納料金請求のお知・・・・」
最後までスクロールせずに、ピッピッとメールを削除。
「えっ、なにをした?」
「迷惑メールだから捨てましたよ」
「えっ、いいの?」
「だって身におぼえがないですよね?」
「ああ」
興味深いことに、ガラケーのメール画面には
「この環境ではコンテンツを表示できません」と書いてあった。
つまり、ネットで悪さをするつもりの業者たち最新の環境で作業しているせいで、本来のターゲットであるはずの老人の多くが使っているガラケーに届いていないのである。
もしかしたら老人の被害は、以前よりかなり減っているのではないか。
周りにいかにもネット詐欺に引っかかりそうなお年寄りがいたら、ガラケーのままでいてもらったほうがいいかもしれない・・・・。
そこで、スポーツゲームである。
水球やポートボール、ポロやカバディのゲームは、まだ見たことがない。
もしかしたら、すでに同人ゲームなどで存在しているのかもしれないが。
カーリングくらいは、あるかもしれない。
また、鬼ごっこや缶けりのゲームも見たことがない。
ドロケーのゲームも見たことがない。
「ドロケー」という遊びを知っているだろうか。
もしかしたら「ケードロ」という名前だったかもしれない。
警察と泥棒がモチーフのこの遊び。
ハッキリ言って、当時の子どもたちが遊んでいたゲームの中では群を抜いておもしろい。
知らない人は人生の半分以上をドブに捨てているレベル。
やったことがない同情されるべき人は、いますぐに仲間を集めてやったほうがいい。
ルールとしては、こうだ。
まずは警察チームと泥棒チームに分かれる。
比率は気分によって決めてよい。
そして、木でも柱でもなんでもいいので「牢屋」を決める。
警察チームが円陣を組んでしゃがみ、目をつぶり100数える。
気分によって、10でも1000でもかまわない。
日が変わってしまうが2兆でもいい。
そのあいだに泥棒は散らばって逃げる。
ちなみに、逃げてもいい範囲は事前に決めておくこと。
ひとつの公園くらいの範囲がちょうどいいだろう。
あまりにも広いと萎えるだけだ。
あとは単純に警察が泥棒を探して捕まえるだけである。
最初に捕まった泥棒は、つねに牢屋に触れている状態でいなくてはならない。
そのあとに捕まった泥棒は、前に捕まった泥棒と手をつながなくてはならない。
泥棒をひとりでも捕まえた時点で警察側は牢屋に見張りを配置すること。
なぜなら、まだ捕まっていない泥棒が牢屋にいる泥棒の身体に触れると「脱獄」と見なされて、牢屋から逃げることが可能になるからである。
牢屋に囚われた泥棒の数が多くなると、牢屋から伸びる線が長くなり脱獄しやすくなるので、警察側も見張りの数を増やさなくてはならない。
このあたりの駆け引きがおもしろく、捕まった泥棒が「まだ来るな!」と呼びかけた茂みとは反対の方向から捕まっていない泥棒が牢屋に向かってダッシュしたりと、最初から最後までスリル満点である。
警察側が泥棒を全員捕まえたら、終わりである。
警察と泥棒を交代するのもいいし、チーム分けからやり直してもいいだろう。
この遊びの前では、大人気だった缶けりすらかすんで見える。
道具を必要としないぶん、現代のサバイバルゲームよりもすぐれているかもしれない。
そして、この遊びには、とある言い伝えがある。
この遊びを「ケードロ」と呼んでいた地域は、警察の力が強い。
つまり、治安がいい。地価が高い。まともな人が多い。
端的にいってしまえば、育ちがいい。民度が高い。
この遊びを「ドロケー」と呼んでいた地域は、泥棒の力が強い。
つまり、治安が悪い。地価が低い。DQNが多い。
端的にいってしまえば、育ちが悪い。民度が低い。
ちなみに自分は、この遊びを「ドロケー」と呼んでいた・・・・。
ほっといてくれ、バーカバーカ!!
もしドロケーやりたい人がいたら、みんなでやろう!