ものすごいブログを見つけてしまった。 「ヤバい」じゃない。 「すごい」だ。
先日、ものすごいブログを見つけてしまった。
「ゲームの追善」というブログである。
なにがすごいかというと、自分が高校生のころに挑戦して挫折したパソコンゲーム
「トンネルズ&トロールズ カザンの戦士たち」をクリアするまでの記事が詳細に書かれているのである。
ここで、昔話をさせてもらう。
同名のTRPG(テーブルトークRPG。乱暴に説明すると紙とサイコロで遊ぶゲーム)が原作で、コンピューターゲームになっても、そのアナログ感が満載。
どんなにレベルを上げても町の人との会話で選択肢をミスると即死したり、時間や食料の概念があるので、食料が尽きると餓死もありうる。
もっとも食料が尽きる前に会話の選択肢で死んでしまうから食料の心配はあまりしなくてもよい。
そんな危険なゲームにもかかわらず、セーブスロットはたったのふたつだけ。
たとえば、セーブスロット1には下水道に入る前のデータがあるとしよう。
下水道に入ってすぐに、セーブスロット2にデータを保存。
下水道の中であやしい像を発見したとする。
ここで、何があるかわからないとセーブスロット1にデータを保存すると、まずこのゲームは詰んでしまうのである。
保存するならセーブスロット2の一択だ。
なぜなら、いまのキャラクターの状態で下水道から出られるという保証はどこにもないからである。
あやしい像を見て、何があるかわからないからセーブするのではなく、下水道の入り口を見てセーブしなくてはならないのだ。
つまり、下水道に入ってからの行動に失敗したら、下水道に入ったばかりの地点からやり直さなくてはならない。
当時このゲームに挑戦して何度もやり直していた自分は、なにかやり方がまちがえているのかとさんざん悩んでいた。
インターネットもなく、そこまで売れたゲームでもなく、まわりにもやっている知り合いがいない。
フロッピーディスクが擦り切れるんじゃないかと不安になるほどセーブとロードを繰り返しても、ぜんぜん進められない。
すこし先に進めても、すぐに即死イベントが発生する。
レベルが上がっても強くなったという実感がまるでない。
そして、このゲームにはかなりしっかりとした攻略本も存在した。
しかし、想像できないかもしれないが、このゲームは攻略本を熟読しても先に進めないのだ。
最初の町で起きるイベントを思い出すだけでも、これくらいキツい。
- 町の人が突然難癖をつけてきて戦闘シーンになり全滅。
- 「なにやら声が聞える」という小屋に近づくと腕が切断して異種族の腕を移植するハメになる。
- 下水道に入ると悪魔が現れてサイコロ勝負をしかけてくる。拒否できず、勝つと宝石がもらえて負けると死ぬ。
- 下水をボートで進んでいるとモンスターがボートをひっくり返して戦闘シーンになるが、防具を身に着けているとおぼれてしまう。
- 下水道からの出口から飛び降りるという行動を選ぶと、ほぼ死ぬ。
- 無事に下水道から町に戻ると少年が「近くに親がやっている安くていい宿があるんだ! 荷物を台車に入れて運んであげるよ」と話しかけてきて、ついていく選択をするとそのまま少年は台車ごと逃げてしまう。
ちなみに戦闘シーンは四角マスを移動して戦う単純なシステムだが、飛び道具や攻撃魔法は、射線に味方がいるとそこに命中する仕様となっている。
単なるクソゲーなら、アッサリとやめていたんだろうが、このゲーム、なんとなく不思議な魅力があって、何度も何度もやり直していたが、けっきょくクリアはできなかった。
何度もやり直した理由は、自分が元ネタのTRPGが好きだったからだろう。
昔話は、ここでおわり。
この攻略本を読んでもクリアできなかったゲーム、このブログの人もこう書いている。
攻略本を持っているにも関わらずあきらめたゲームはほかにない。やったことのある人には驚きではないだろう。そういうゲームだ。
ここに、そのブログの「トンネルズ&トロールズ」を攻略した記事のリンクを貼る。
読みごたえはバツグンである。
どうだろうか。
約40にもおよぶ攻略記事。
ものすごく楽しかったのではないだろうか。
いや、おそらく、そんなことは、ない。
ほとんどの人が「意味がわからない&まったく興味がない」のではないだろうか。
というか、最初から最後までぜんぶ読んでくれた人は皆無だろう。
このブログ、ゲーム画面のスクリーンショットがいっさい出てこない。
なので、プレイした経験がある人にしか読んでもさっぱり理解できないはずだ。
自分はこの攻略記事の文字だけで、ゲーム画面が頭に浮かんでくる。
そして、高校生のころの自分がひたすらセーブとロードを繰り返していたのは、まちがいでもなんでもなく、クリアするためには必須の行動だったということが、わかっただけでも、ありがたい。
この攻略記事を最後まで読んで、自分もやりたくなってきたが、環境をそろえるだけで厳しそうだ。
最初は、このゲームをクリアした人がいるんだなあと感心しているだけだったが、この「ゲームの追善」というブログをいろいろ見ていると、とても心を揺さぶられる記事に出会った。
それが、これだ。
かなりの時間をゲームに費やしてきた。それにもかかわらず、買ったけれども手をつけていないゲームや、手はつけたが最後までやっていないゲームや、かなりやりこんだはずなのに心残りのあるゲームがある。あると言うよりも、ほとんどがそうだ。
これが最後という覚悟で、昔のゲームをやってみる。あわせて記録も残そうと思う。
なぜこういう気持ちになったのだろうか。残りの人生をあせる気持ちがあるのかもしれない。ゲームにハマったことを後悔する気持ちがあるのかもしれない。よく分からないがやれるだけやってみる。
これは20代や30代の人には、けっして理解できない感情だと思う。
そして、このブログの人は、これからクリアするつもりのゲームをリストアップしている。
このリストを見て、自分は完全にこのブログのファンになってしまった。
自分がやっていたゲームと時代がとてもかぶっている。
あと、これはどうでもいい情報だが、自分はこれまでも気が向いたときには「T&T カザンの戦士 クリア」みたいなカンジでググっていた。
少なくとも、2年前まではこんなすごいブログは出てこなかった。
と思ったら、このゲームをクリアしたのは2016年の年末か。
すごいよ。ホントにすごい。
今後クリアする予定のゲームにも、自分の大好きだったゲームがかなりの数リストアップされている。
「シムシティ」
「ポピュラス」
「ロードモナーク」
「大航海時代」
「マスターオブモンスターズ2」
「DIABLO」
「電車でGO!」
「卒業」
「魔導物語1-2-3」
「ファーストクイーン2」
まず「ダンジョンマスター」に関しては、自分は日本では10本の指に入るくらいはプレイ時間が長いと自負している。
いままでやってきたネットゲームすべてのプレイ時間を足しても、ダンジョンマスターのプレイ時間にはおよばないと思う。
このゲームは、リアルタイム3Dダンジョンアクションゲームで、マップの構造が個性的なので、キッチリとマッピングしなくてもクリアできる。
このブログの人がプレイを開始するのが楽しみだ。
「ソードダンサー」がリストに入っているのも興味深い。
これは戦闘シーンがスト2そっくりの格闘ゲームというRPGで、パソコンのキーボードでガイルのサマーソルトキックと同じコマンドを要求されるという、すごいゲームだった。
あたりをリストアップしているので、このブログの人はおそらく自分の年齢から2歳下から15歳上だと推理する。
ロードモナークに関しては、以前このブログでも記事にした。
ホントにおもしろいゲームである。
そして、このブログのすごいところは「人に見てもらいたいという意識が皆無」なところだろう。
まず、コメントをする場所がない。
連絡先も見当たらない。
また、画像がまったくないうえに白地に黒テキストなので、職場でも堂々と読めるのもポイントである。わかっている。
背景が黒いゲーム系のブログは、職場で見るとあきらかにサボっているのがバレバレなので、背景は白にしてほしい。
自分はちょっと前に、ネットで「でんぱ組.inc」というアイドルグループの動画を観て衝撃を受けて、直接観てみたいと思って大阪までライブを観に行ったことがあるが、このブログの人には、それと同じモノを感じた。
このブログの人と会ってみたい。
正直なキモチである。
趣味の世界においては、すこし会話するだけで相手のレベルがある程度わかってしまうと思う。
とくに、頭でっかちの知ったかぶりは、すぐにバレる。
ネットで調べれば出てくる知識と、実際に体験した知識は、ぜんぜんちがう。
ファミコン版の「カラテカ」「バンゲリングベイ」「スペランカー」あたりに顕著だがこの3本のゲームは、けっしてクソゲーでは、ない。
クソゲーだと吹聴しているヤツには「どこがクソゲーなんだ?」とぜひ聞いてみてほしい。
「カラテカ」で最初にうしろに下がって死ぬのは、それ専用のグラフィックが用意されているのがすごいでしょ。
「バンゲリングベイ」をクソゲー呼ばわりする人は、たぶん実際にプレイしたことがないんだと思う。クソゲー要素ナシ。
「スペランカー」ですぐに死ぬのは仕様だと製作者が明言している。
ホントにクソゲーなのは「バツ&テリー」とか「スーパーモンキー大冒険」である。
擁護する要素が、ホントにない。
話が飛んだ。
もしこのブログの人と会う機会があったら、自分は正直に自分の知識で勝負したいと思う。
たぶん、ぜんぜんかなわないと思う。
そして、このブログの人から見たら、自分もこう思われるにちがいない。
「この人、ゲームにくわしいって自称だけど、ぜんぜんわかってないなwwww」
とにかく自分は、このブログの更新が楽しみで、しかたがないのである。